2013年4月4日
兵庫県の八千代町という地域で不耕起栽培で米作りをしている
農家があることをネット情報で知った夫が電話でアポイントを取っていました。
ちょうど春休みで遊びに来ていた長女と腕白坊主3人も一緒に
待ち合わせ場所の田んぼへ行きました。
私の実家と立地はほぼ同じで
山あいにある少し開けた場所で、こちらは中程度の川が
すぐそばを流れていて、水田としては好立地と言えるでしょう。
8年前から不耕起栽培を始めたそうです。
ひのきもとさんは上の本の著者が出演している番組を見て
これをやろう! と思われたそうです。
うちの孫と同じく娘さんがアトピーで、随分長い間
何か良い改善の方法は無いか苦労されていたそうです。
アトピッ子には化学肥料や農薬を使って育った材料で作られた食品は
とても悪い影響が出、その痒みの為に掻きむしって
血が滲んだ肌を見るのは辛いものです。
だからその話を聞いて「やっぱりそんなきっかけがあったのか」と
納得しました。
この土はトロッとしたクリーム状だそうで、不耕起栽培を始めて3年ほど
かかったそうです。
大量の糸ミミズとユスリカの幼虫である赤虫が良い仕事をしてくれて
こうなるのだとか。
水面に黄緑色に見えるものがびっしり覆っているのが見えますが
イチョウウキゴケと言って、2007年に環境省の準絶滅危惧に指定
されたもので、この2反弱の田んぼの3分の2程を覆っていました。
ひのきもとさんの田んぼでは稲刈りの後すぐに水を張り
田植えの時期までそのままにしているので草が生える
条件があるのですが、イチョウウキゴケが田を覆うと丁度影を作り
雑草を抑える効果があるのだそうです。
ひのきもとさんは雑草をいかに抑えるかで
その歳の収穫量が違ってくると考えていて
この時期に押さえておくことがとても大切だと云います。
昔の環境の中では普通に見られた水性植物も
近年の、科学の力に頼った農業のせいでどんどん減ってきている
ものが沢山あって、いわゆるレッドデーターリスト入りです。
それが、ひのきもとさんの田んぼでは昔ながらの自然な
環境が戻った事によって、イチョウウキゴケが復活したものと思われます。
そしてそれがちゃんと、その時期に必要な働きをしてくれる、
何て自然のメカニズムは上手くできているものか、と感心させられます。
まさに ”天の采配” としか云いようがありません!
この緑色のものは サヤミドロ と言って
これも自然農法にとって強い味方になるそうです。
他にも色々な水性小動物や植物が増え始めている様ですが
まわりの従来型の田んぼには全く無いそうです。
そしてごく最近から、地域の道の駅などで
”ひのきもとさんのお米” と言う名前で
玄米が売られていて、私達も会う前日に買い求め
朝に食べてから行きました。
私はグルメじゃないので、食べてすぐ「おいしい!」
とかは判らないですが、もっちりしていてとても甘かったです。
約1時間半も色々参考になるお話を聞きました。
やはり楽な8年ではなかったそうです。
水利権の問題、山から降りてくる鹿や猪、毎年変わってゆく
田んぼの環境、そして何より、なかなか増えない収穫量など
まだまだ奮闘の日々が続きそうです。
1反というのは約991平方メートル≒31m四方≒300坪
で、従来型稲作では平均約420kgの玄米(白米にすると約380kgになる)
が穫れるそうですがひのきもとさんの田んぼでは
今のところその3分の2の収穫量だそうです。
周りの農家さんも真似してくれるように成るためには
少なくとも平均以上穫れないと、”不耕起栽培”は
良い物なのだ、と認めてもらえないとおっしゃいます。
ひのきもとさんも最初は「あんたの道楽でやっとるんやろ?」
と言われていたそうです。
米に限らず、自然農法で作物を作りたいと考える人は
多いと思うのですが周りの目が恐ろしくてなかなか
伸び伸び出来ないのが実情です。
私達は田舎の住人ではないのでなおさら
難しいと思います。
でも、ひのきもとさんのような先駆的な方の姿を目標に
挫けずコツコツやっていこうと考えています。